2022-10-18
通常、不動産売買の手続きの際には司法書士が立ち会います。
このとき、売主または買主に意思・判断能力がないと司法書士が判断した場合には、売買契約は成立しません。
では、認知症の親の不動産を売却するにはどうしたら良いのでしょうか。
今回は、太田市・大泉町周辺で不動産売却をご検討中の方に向けて、認知症の親の不動産が売却できない理由や起こりうるトラブル、売却を可能にする成年後見制度についてご紹介します。
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親が認知症になった場合、その介護は簡単ではありません。
医療や介護用品、介護サービスを利用するための費用がかかるうえ、介護のために家のリフォームが必要なこともあるでしょう。
介護のために退職、時短勤務としたために収入が減少したという方もいます。
そのようななかで、親の不動産を売却して資金を工面したいと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、認知症の親は不動産売却ができません。
意思・判断能力がなければ不動産売却はできない
不動産売買のような重要な取引は、本人の意思・判断能力がない、または疑わしい場合にはおこなえません。
認知症などの病気で意思・判断能力がない方が結んだ売買契約は無効となります。
不動産の所有者が認知症となった場合、不動産の売却によってどのような結果となるかを十分に理解することができないからです。
ただし、認知症は初期症状をみせてから重度に至るまでに平均10年前後かかるといわれています。
そのため、認知症だとしても意思・判断能力があると判断された場合には通常の不動産売却が可能です。
過去の判例によれば、アルツハイマー型認知症の場合、中程度の進行で「意思能力が欠如している」と判断されるようです。
意思能力がなければ委任もできない
それならば、委任状を作成して親の代わりに代理人が売却すれば良いのでは、と考えがちです。
しかし、認知症により意思・判断能力が低下している方は不動産売却を誰かに委任することもできません。
委任による不動産売却は、あくまでも所有者に正常な意思・判断能力がある場合に限られます。
このように、親が認知症によって意思・判断能力が低下している状況では、たとえ同居の長男であっても勝手に不動産を売却することはできないので注意が必要です。
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親が認知症になり正常な判断ができないなかで、不動産や預貯金を子どもが勝手に処分してはいけません。
ここでは、親が認知症になった場合に起こりうる、不動産売却を巡るトラブルをご紹介します。
認知症の親が所有する不動産を、兄弟や親戚の承諾なく勝手に売却してしまうケースがあります。
親に意思・判断能力のあるうちに生前贈与をされている場合や、親が亡くなり有効な遺言書でもない限り、名義人以外が不動産売却をおこなうことはトラブルの原因となります。
親が亡くなった際に、不動産の相続権を持つ親族は遺産相続の民事訴訟を起こすことができるのです。
このような民事訴訟により親族間でトラブルとならないために、認知症の親の不動産は勝手に売却してはいけないと理解しておきましょう。
介護を必要とする方にとって危険が少なく便利なバリアフリー機能の充実した家をと考えることもあるでしょう。
しかし、認知症により意思・判断能力のない方は不動産を購入することもできません。
また、認知症の親の預貯金などの財産を勝手に使うこともトラブルの原因となります。
たとえ介護に必要な物件購入やリフォームだとしても、勝手におこなってはいけません。
必ず推定相続人である兄弟や親族に相談しましょう。
介護費用のために必要な不動産売却だったとしても、推定相続人の許可なく売却することでトラブルに発展するケースも多くあります。
認知症の親の介護をするにはお金が必要です。
症状が進み介護施設に入居する場合には入居費用や毎月の利用料、自宅で介護する場合でも介護ベッドやおむつ代などがかかります。
これらの費用を捻出するための不動産売却だったとしても、勝手におこなってはいけません。
やむを得ず不動産を売却する場合は、必ず推定相続人の許可を得ることが大切です。
また、不動産売却により得たお金の使途を明確にしておくために、介護用品の領収書などは必ず残しておきましょう。
このようなトラブルは、認知症になった親の意思・判断能力の有無が重要となります。
そのため、不動産売却の際には事前に医師の診断書を取得しておくと良いでしょう。
医師の診断により意思能力が欠如していないと証明できれば、あとから契約が無効になったり、親族から民事訴訟を起こされたりといったトラブルにはなりません。
また、将来に備えて親の財産を管理できる成年後見人をあらかじめ決めておくこともトラブル防止に有効です。
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認知症により意思・判断能力がない親の所有する不動産は、成年後見制度を利用することで売却が可能です。
成年後見制度とは、認知症や精神障害、知的障害などで判断能力が不十分な方(被後見人)に、援助する方(後見人)をつける制度のことです。
後見人となった方は、被後見人の財産を守るという原則のもと、被後見人の代わりに不動産売却をおこなえるほか、預貯金などの財産管理、介護サービスの契約締結などをおこなうことができます。
成年後見制度は2種類ある
成年後継制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。
任意後見制度
任意後見制度は、将来の意思・判断能力低下に備えてあらかじめ後見人と代行内容を決めておく制度です。
任意後見制度は意思・判断能力に問題がない場合にのみ利用できる制度で、公証役場で任意後見契約を結ぶことで有効となります。
法定後見制度
一方、法定後見制度はすでに認知症などで意思・判断能力の低下がみられる場合にのみ利用できる制度です。
法定後見制度では、家庭裁判所がもっとも後見人にふさわしい方を法定後見人として選出し、被後見人の財産管理を任せます。
親が認知症になり意思・判断能力が低下したとしても、成年後見制度を利用して産売却が可能となります。
ただし、親族の要望があったからといって、無条件で不動産が売却できるわけではありません。
成年後見制度を利用して不動産売却をおこなえる条件は次の2つです。
被後見人の利益となる売却であること
成年後見制度は被後見人の利益を守るための制度であることから、ご本人の利益につながらないことはできません。
被後見人の不動産を売却するには、介護施設へ入居するための資金捻出のためといった正当な理由が必要です。
家庭裁判所の許可を得た売却であること
ご本人にとって重要な財産である居住用不動産を売却するのであれば、家庭裁判所の許可が必要となります。
なお、この際に被後見人の利益にならないと判断されれば、許可を受けることができません。
もし家庭裁判所の許可を得ず不動産売却をおこなった場合は、契約が無効となるので注意が必要です。
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認知症になった親の介護費用を捻出するためだとしても、親の不動産を勝手に売却してはいけません。
ご自身を守るためにも、成年後見制度を利用して正しい手順で不動産売却をおこないましょう。
私たち「SweetHome太田大泉店」は、太田市・大泉町を中心に不動産売却のサポートをしています。
親の不動産を売却したいという方も、まずは弊社へご相談ください。